姑獲鳥の夏　　★★★★☆

京極夏彦/講談社 (Story) 戦後しばしの日本。東京・雑司が谷に久遠寺医院の娘二十箇月も身ごもったままで、夫は行方不明という奇妙な噂が流れる。 久遠寺家の怨念か？ 古本屋にして「憑き物落とし」を業とする陰陽師・京極堂シリーズ第一弾。 (Review) 前半は退屈でした。話はなかなか進まないし、繰り返し読むことが多かったですが、 後半になるとノンストップ、止まらなかったです。 憑き物という言葉には弱いのか、最後は気になりました。 妖怪が人間の中に巣を喰う様は読む側にも圧巻です。 「地域の民俗社会にはルールがある。呪いが成立する前に法律というものがある。 （略）現代都市に持ち込まれた呪いは、単に悪口雑言罵詈讒謗、讒謗中傷の類と何ら変わらぬ機能しか持たないのです。」 なるほどね・・と思うセリフの数々があります。 昭和の陰陽師といえるべきストーリーと、魅力のある京極堂さんに引き込まれました。 「陰陽師」の晴明さんが、そのまま戦後の日本に現れたかのような、いや生まれ変わりでしょう。 -Back-