永遠の途中　★★★☆

唯川恵　　　光文社 (Story) 薫と乃梨子は共に２７歳、同期入社で親友同士。 笹原郁夫を気になっていた薫は、乃理子も彼のことが好きだと気付く。 先手に出た薫は、郁夫と結婚する。 その時、薫は乃梨子に勝ったと思い、乃梨子は負けたと思った。 果たしてそうだろうか？ 結婚して主婦となった薫と、シングルでキャリアウーマンで生きる乃梨子の２７歳から６０歳までの半生を描く。 (Review) 同い年の同僚の二人が、 片方は主婦、もう片方はキャリアウーマンと、別の道を生きる姿を歳を追いながらテンポよく描かれてました。 メリハリのあるキャラ作り、お互いの隔たり、嫉妬、妬み、ライバル意識など心理描写は上手いです。 シングルの人は乃梨子、結婚している人は薫に共感を持てると思います。 私も薫や乃梨子と同じように懐かしい友にあったり、ふと懐かしい写真を見ると、 「もしあの時・・」「もし彼女が私だったら・・」 と、もう一人の自分を想像し、後悔することもあります。 『結婚して主婦の人生も、キャリアウーマンの人生もどっちが幸せだかわからない。 　これでいいのだと自信を持って生きていく人はいる人はどのくらいいるのだろうか？ 　結論は先にならないとわからない・・これは永遠である。』 「もし、薫（乃理子）になったとしても同じようには生きられない」 「所詮はないものねだり」 もし、別の人生があったとしても、今より幸せであったかはわからない。 自分しかないもの、大切なものを気付かせてくれました。 平凡な日常がどれほど幸せであること、今の自分をせいいっぱい生きていこうと思いました。 -Back-

めまい　　★★★★☆

唯川恵　　集英社 (Story) 美容外科クリニックを開業した庸子のもとに、高校時代の同級生・吉江が整形した欲しいと訪ねてきた。 吉江の言われるままに手術した庸子。 吉江は高校時代、醜いものが嫌いな自分にとって苛めぬいていた相手だった。（「きれい」より） 量子と祥子は双子の姉妹。量子は無事に生まれたが、祥子は難産のため体の弱い子として生まれた。 祥子は体の弱いことを武器に量子が持っているものをなんでもほしがっていた。 時は流れ、量子は独身ＯＬ、祥子は結婚したが、子供がいない。（「眼窩の蜜」より） 女性の執念、怨念、悲しみを描いた１０通りの物語。 (Review) 一言、怖い。ホラーの世界が詰まった本です。 「きれい」「眼窩の蜜」の生理的恐怖、「誰にも渡さない」のような怨念、 「嗤う手」のような怪奇、「青い使者」「耳鳴りにも似て」のようなサスペンス 、どれも読み終わったらぞっ～とするような感じがしました。 どの話もキャラの心理描写が上手く、投影しやすいです。 ほらあなたにも、自分の中にも潜んでいるかも・・醜い自分が・・ 私はこういう話は大好き、唯川さんのファンになりました。 -Back-